B型肝炎訴訟は、集団予防接種によってB型肝炎に感染した方が国に損害賠償を求める訴訟です。
訴訟の結果として和解交渉がおこなわれることで、被害者は給付金を受給できます。
B型肝炎として診断された場合、自分が給付金の対象者になるのか、そしてどれくらいの確率で和解が成立するのかを知りたいというのは、当然のことです。
本記事では、B型肝炎訴訟における和解確率や、給付金の受け取りまでの流れと期間について詳しく解説します。
和解を成功させるためにどのような準備が必要なのか、どのような点に注意すべきかについても触れ、給付金を確実に受け取るための効果的な方法をご提案します。
目次
B型肝炎訴訟の和解確率は約80~90%
B型肝炎訴訟における和解確率は、約80%から90%といわれています。
以下では、法務省と全国B型肝炎訴訟弁護団のWebサイトを参考に、実際の原告数や提訴数と和解数から和解確率を確認していきましょう。
Webサイト | 原告数・提訴数 | 和解数 | 和解確率 |
法務省 | 109,518名 (原告数) | 85,616名 | 約78% |
全国B型肝炎訴訟弁護団 | 35,634名 (提訴数) | 32,640名 | 約91.6% |
【参考】法務省、全国B型肝炎訴訟弁護団
上記のデータから、B型肝炎訴訟の和解確率は非常に高く、約80%から90%の範囲であることがわかります。
和解に至るまでには、被害者やその遺族が国に対して損害賠償を求めて訴訟を起こし、裁判所の仲介のもとで和解協議をおこなわなければなりません。
訴訟から和解までの手続きは決して簡単なものではありませんが、なぜこれほど和解確率が高いのかを下記に解説していきます。
B型肝炎訴訟の和解確率が高い理由
B型肝炎訴訟の和解確率が高い理由の一つと考えられるのは、国が訴訟を通じて迅速に問題を解決し、被害者に補償を提供することに積極的である点が挙げられます。
また、訴訟に至る前の段階でおこなわれる詳細な証拠収集と評価により、和解の可否がある程度予測できることも大きな理由といえるでしょう。
前もって一人ひとりのB型肝炎に対する具体的な証拠を収集することで、和解が困難と判断されるケースでは訴訟が提起されることが少なくなります。
結果として、訴訟を起こす方の多くが和解へと進む可能性が高くなっていると考えられるのです。
さらに、和解による解決を推進することで、裁判所の負担軽減と迅速な被害者救済が実現されています。
B型肝炎給付金の対象者
B型肝炎給付金の対象者となるのは、過去におこなわれた国の集団予防接種プログラムによってB型肝炎ウイルス(HBV)に感染したと考えられる方です。
対象者となるためには感染経路の明確な証明が必要となり、証拠として医療記録や診断書、感染経路を示す資料などを用意しなければなりません。
具体的には、以下のような書類が証拠となります。
- 医療機関からの診断書や治療記録
- 感染経路を裏付ける証拠資料
- 感染時期を特定するための資料
必要書類を提出し、給付金の申請資格が認められると和解交渉の過程で給付金の支給が決定されます。
明確な証拠となる書類がないと、給付金の申請資格は認められません。
そのため、証拠が揃わなかった方は最初から訴訟を起こさないということも和解確率の高さにつながっていると考えられます。
B型肝炎訴訟の和解・給付金受け取りまでの流れ
B型肝炎訴訟は、過去の集団予防接種等でB型肝炎ウイルスに感染した被害者が国に対して損害賠償を求める法的手続です。
訴訟の際には、訴訟提起から和解交渉、そして給付金の受け取りまで、複数のステップを踏んで進めます。
以下では、訴訟の提起から和解の成立、さらには給付金を実際に手にするまでの一連の流れを解説します。
弁護士に相談する
B型肝炎訴訟を成功させるために重要となるステップが、経験豊富な弁護士に相談することです。
弁護士に相談することで、訴訟の可能性・成功の見込み・必要な手続き・予想される結果について詳細なアドバイスを受けられます。
また、訴訟を進めるうえでの戦略を立て、証拠収集から訴訟提起、和解交渉に至るまでの全体のサポートが受けられます。
弁護士に相談することで、訴訟の見通しを明確にして適切な準備をおこなうことができるでしょう。
証拠書類を用意する
訴訟を進めるにあたり、B型肝炎ウイルスに感染したことを証明するための証拠書類の収集が必要になります。
証拠書類として挙げられるのは、医療記録・診断書・予防接種の記録などです。
証拠書類は国との和解条件を満たしているかどうかを証明するために不可欠であり、訴訟の成否にも直接影響を与えます。
しかし、証拠書類の収集は、訴訟の準備のなかでも特に時間と労力を要するため、専門家である弁護士と協力して慎重に進める必要があります。
国に対して訴訟を起こす
証拠書類が収集できたら、次のステップとなるのが国を相手に国家賠償請求訴訟を提起することです。
訴訟が提起されると、裁判所の仲介のもとで和解協議がおこなわれます。
和解協議の過程では、和解できる要件を満たしているかどうかが検討され、条件に合致する場合は国と和解調書を取り交わすことになります。
ただし、和解交渉は複雑かつ専門的な知識が必要となるため、弁護士のサポートを受けることが賢明な判断です。
和解に至るまでに必要な手続きは訴訟の性質や個々の事案によって異なりますが、被害者の利益を最大限に守るためには適切な準備と戦略が求められます。
和解が成立したら社会保険診療報酬支払基金に請求書を提出
国との和解が成立したら、B型肝炎給付金を受け取るために給付金の支払いを求める請求書と必要書類を社会保険診療報酬支払基金に提出しなければなりません。
請求書の提出は特に重要度が高く、給付金を実際に受け取るための最終的な手続きです。
請求書の提出後、給付金が支給されるまでには通常2~3ヶ月程度かかりますが、事案によってはさらに時間がかかることもあります。
給付金受け取りまでの期間は、訴訟の複雑さや処理の速度によって異なりますが、スムーズに給付金を受け取るためには正確な書類の提出と適切な手続きが不可欠です。
B型肝炎訴訟の和解・給付金受け取りまでの期間は1年~1年半
B型肝炎訴訟における和解や給付金の受け取りまでにかかる期間は、訴訟提起から完了まで平均して1年から1年半です。
この期間は、訴訟の具体的な内容や関連する手続きの複雑さ、および和解交渉の進行状況によって異なります。
この1年から1年半までの期間中に、被害者や代理人は以下のような行動を進めることになります。
- 訴訟の準備
- 証拠収集
- 裁判所での手続き
- 和解交渉
- 給付金請求
これからB型肝炎訴訟を検討している方は、給付金を受け取れるまでに必要な期間について把握したうえで計画を立てることが重要です。
B型肝炎訴訟の和解確率を高めるなら弁護士に依頼
B型肝炎訴訟における和解確率をできるだけ高めたいのであれば、経験豊富な弁護士への依頼が不可欠です。
弁護士は、訴訟の準備から和解交渉、給付金の受け取りまで、全プロセスを通じて専門的なサポートを提供できます。
B型肝炎訴訟自体は個人でも可能ですが、専門家による支援によって訴訟の成功率は大幅に高まり、より迅速に給付金を受け取ることができるでしょう。
以下では、訴訟を弁護士に依頼することのメリットを解説します。
必要な証拠を集めるサポートをしてもらえる
B型肝炎訴訟においては、感染経路の明確な証明や損害の具体的な証拠が求められます。
弁護士に依頼することで、医療記録の収集・証人の証言確保・専門家の意見書の取得など、必要な証拠を集めるためのサポートが受けられます。
弁護士による専門家ならではの支援によって、裁判所に対して説得力のある証拠を提出することができ、訴訟の勝訴確率を大幅に向上させることができるでしょう。弁護士による徹底した証拠収集は、訴訟の成功に欠かせない要素です。
訴訟に関する手続きを任せられる
訴訟を自分でおこなうケースでは、訴状の作成から訴訟の提起、裁判所での各種手続き、和解交渉まで、多岐にわたる複雑な手続きをすべてこなさなければなりません。
弁護士に依頼することで、これらの複雑な手続きをすべて専門家が代行し、被害者は訴訟に関する煩雑な作業から解放されます。
また、弁護士は法律の専門家としてもっとも効果的な訴訟戦略を立案し、クライアントの利益を最大化する提案もしてくれます。
専門家による手続きの代行は、訴訟をスムーズに進めるうえで大きな利点となるでしょう。
スムーズな手続きにより、和解までの期間を短縮できる
弁護士に依頼することで、訴訟の各段階で適切なアドバイスとサポートが受けられるため、和解交渉を効率的に進めることができます。
専門的な交渉技術と法的知識を駆使することで和解までの期間を短縮し、早期に給付金を受け取るためのサポートが可能です。
弁護士は裁判所の手続きや和解交渉に精通しているため、無駄な時間を省きながら迅速な解決を目指すことができます。
訴訟手当金として給付金額の4%が上乗せされる
B型肝炎訴訟において和解が成立すると、給付金額に加えて「訴訟手当金」として4%が上乗せされることがあります。
この追加給付は、訴訟を通じて発生した費用の一部を補填するものであり、弁護士に依頼する際に受けられる経済的メリットの一つといえるでしょう。
専門家のサポートを受けることで有利な和解条件を得ることが期待でき、さらに訴訟手当金によって費用対効果はさらに高まります。
弁護士に依頼することは、経済的な利益だけでなく、訴訟の成功率を高めるうえでも大きなメリットがあります。
さいごに
本記事では、B型肝炎訴訟における和解確率や、給付金の受け取りまでの流れなどを解説してきました。
B型肝炎訴訟における和解確率を高め給付金を確実に受け取るためには、専門知識を持つ弁護士への相談が不可欠です。
和解から給付金受け取りまでの手続きは複雑であり、専門知識も欠かせません。
経験豊富な弁護士によるサポートを受けることで、訴訟をスムーズに進めるうえで大きな助けとなるでしょう。
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適切な弁護士に依頼することで和解の可能性を高め、給付金を受け取るための第一歩にしてみてください。