B型肝炎の給付金は、過去におこなわれた集団予防接種等を原因とするB型肝炎ウイルス感染者や、その遺族に支給される給付金です。

しかし、一次感染者だけでなく母子感染によるB型肝炎でも、特定の条件を満たせば給付金を受け取ることが可能です。

本記事では、母子感染によってB型肝炎になった場合の給付金請求の条件や、給付金額の概要、そして母子感染を証明する方法についてわかりやすく解説します。

給付金を受け取るための第一歩として、必要な情報を整理して今後の進め方を決める指針にしましょう。

B型肝炎なら弁護士に無料で相談
この記事を監修した医師
福地 裕三(にじいろクリニック新橋)
にじいろクリニック新橋の院長の福地です。性感染症を中心にED、AGA、ピルなどの処方も行う自由診療のクリニックになります。患者様1人1人、必要な検査は異なりますしエビデンスのある治療を行う必要があります。正しい情報を提供するとともに解決策を見つけ出してご提案いたします。

母子感染のB型肝炎でも給付金を受け取れる可能性はある

B型肝炎にはさまざまな感染経路がありますが、母子感染は未来の世代にも影響を及ぼす重大な問題です。

母子感染によるB型肝炎は、適切な予防と早期の治療によってその影響を最小限に抑えることができますが、治療による経済的な負担は決して軽くはありません。

そこで役立つのが、B型肝炎の給付金です。

B型肝炎の給付金は、感染したご本人やその家族に対する経済的な支援を目的として支給されます。

幸い、母子感染によるB型肝炎であっても一定の条件を満たせば給付金を受け取ることが可能です。

まずは給付金制度を利用できる条件が整っているかどうかを確認し、給付金を受け取るための準備をしましょう。

母子感染の方がB型肝炎給付金を受け取るための条件

B型肝炎の母子感染は、集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染した母親から、その子どもへとウイルスが感染することを指します。

一次感染者だけでなく、母子感染による二次感染者でも、特定の条件を満たせば給付金の受給が可能です。

以下では、母子感染によるB型肝炎で給付金を受け取るための主な条件について解説します。

母親が一次感染者の要件を全て満たしていること

給付金を受け取るためには、まず母親がB型肝炎の一次感染者であることが必須条件です。

そのため、母親が特定の期間内に生まれ、集団予防接種等を受けた結果、B型肝炎ウイルスに感染していることを証明する必要があります。具体的には、昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までに生まれた母親が対象となり、予防接種等による感染の証明が求められます。

自身がB型肝炎ウイルスに持続感染していること

給付金の受給資格を得るためには、子ども自身がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する必要があります。

「持続感染」とは、B型肝炎ウイルスが体内に6カ月以上存在し続けている状態です。

持続感染の証明には、HBs抗原・HBc抗体・HBV-DNAなどの検査結果が用いられ、2回以上の検査で「陽性」という診断が確認される必要があります。

母子感染であること

給付金を受け取るための最終的な条件として、感染が母子感染であることの証明が必要です。

母子感染を証明するためには、母親と子どもの間でB型肝炎ウイルスの塩基配列が一致することを示すHBV分子系統解析検査の結果や、母子感染以外の感染経路がないことを示す資料が求められます。

母親からの感染が明確であれば、給付金の受給資格が認められます。

母子感染であることを証明するために必要なもの

母子感染によるB型肝炎の給付金を受け取るためには、感染が実際に母子間で起こったことを明確に証明する必要があります。

母子感染であることの証明は、感染経路の特定と給付金受給資格の確認に不可欠な要素です。

以下では、母子感染の証明に必要な資料について解説します。

生まれたときからB型肝炎ウイルスに感染していたことがわかる資料

母子感染を証明するためには、まず出生時からB型肝炎ウイルスに感染していたことを示す資料が必要です。

具体的な資料としては、以下のようなものが挙げられます。

出生直後のHBs抗原検査結果新生児期におこなわれたHBs抗原の検査結果で、出生時に既にB型肝炎ウイルスに感染していたことを示すもの。
母親の感染状態を示す医療記録出産時に母親がB型肝炎ウイルスに感染していたことを示す病院の記録や検査結果。
新生児期の医療記録出生直後からの医療記録で、母子感染の可能性を示唆する情報。
母子手帳や出生証明書出生時の健康状態や母親の健康状態に関する情報が記載された公的な文書。
免疫学的検査結果新生児期におこなわれた免疫学的検査結果で、B型肝炎ウイルスへの感染を示すもの。
医師の診断書医師が出生時の感染状態について記述した診断書や意見書。

母親と自身のHBV分子系統解析検査の結果

母子感染の証明において、感染経路を科学的に裏付ける強力な証拠となるのがHBV分子系統解析検査の結果です。

HBV分子系統解析検査によって、母親と子どもの間でB型肝炎ウイルスの遺伝子型が一致するかどうかがわかります。

HBV分子系統解析検査を受けることで母子それぞれのB型肝炎ウイルスの塩基配列が比較され、母親から子どもへの感染が明らかになります。

検査結果は、給付金請求における感染経路の証明において中心的な役割を果たします。

母子感染以外で感染する原因がないことがわかる資料

給付金を受け取るためには、感染が母子感染によるものであることだけでなく、他の感染経路が存在しないことも証明する必要があります。

そのためには、生活環境や医療履歴においてB型肝炎ウイルスに感染する要因がなかったことを示す以下のような資料が必要です。

予防接種記録集団予防接種等における使用された注射器や針が原因での感染を否定するための記録。
医療記録生後間もない期間における、他の医療処置による感染の可能性を排除するための病院や診療所の記録。
家族の医療履歴家族内でのB型肝炎ウイルスの感染経路を追跡し、他の家族メンバーからの感染可能性を否定する資料。
血液検査結果生後数ヶ月以内におこなわれた血液検査の結果で、他の感染経路がないことを示すもの。
母親の医療記録母親がB型肝炎ウイルスに感染していた証拠となる医療記録や検査結果。
居住環境の記録生後から現在に至るまでの居住歴や、感染リスクが高い環境への暴露がなかったことを示す資料。
医師の証明書B型肝炎ウイルスに感染した経路が母子感染であると医師が証明する文書。

母親が母子感染(二次感染)でないことを証明する方法

母子感染によるB型肝炎の給付金請求は、感染経路の証明が重要です。

母親が一次感染者ではない場合は条件が異なるため、まず母親が二次感染者ではないことを証明しなければなりませんが、母親が生きているケースと死亡しているケースで、証明方法にも違いがあります。

以下では、これらのケースにおける証明方法について解説します。

母親が生きている場合

母親が存命であるケースでは、給付金請求のためには母親が一次感染者であることの証明が必要です。

証明としては、母親が特定の期間内に集団予防接種を受けていた証拠やB型肝炎ウイルスに持続感染していることを示す医療記録が求められます。

また、母子感染が感染経路であることを示すために、母親と子どものB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果などが有効です。

母親が死亡している場合

母親が既に死亡しているケースでは、給付金請求の条件は複雑になります。

証明のために重要な証拠となるのは、母親が一次感染者であったことを示す過去の医療記録や予防接種の記録などです。

さらに、子どもがB型肝炎に持続感染していることを証明する必要があり、出生時の医療記録や母親との遺伝的関連性を示す資料が求められる可能性があります。

母子感染のB型肝炎で受け取れる給付金額

B型肝炎ウイルスによる母子感染とは、母親から子どもへのウイルス感染を指し、この経路で感染したケースでも給付金の対象となります。

支給される給付金額は、感染による病態の重さに応じて異なり、最大で3,600万円まで支給されます。

以下では、母子感染によるB型肝炎で受け取れる給付金額について解説します。

病態給付金額 (20年経過前)給付金額 (20年経過後)
死亡 肝がん 肝硬変(重度)3,600万円900万円
肝硬変(軽度)2,500万円600万円(現在治療を受けている方) 300万円(上記以外の方)
慢性肝炎1,250万円300万円(現在治療を受けている方) 150万円(上記以外の方)
無症候性キャリア600万円50万円

なお、無症候性キャリアの場合は、給付金に加えて慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費・母子感染防止のための医療費・世帯内感染防止のための医療費・定期検査手当が支給されます。

母子感染の方がB型肝炎給付金を受け取る流れ

母子感染によるB型肝炎ウイルスへの感染も、給付金の対象となります。

給付金を受け取るためには特定の手続きを踏む必要がありますが、専門知識が必要になるため個人でおこなうのは困難です。

以下では、弁護士のサポートを受けながらB型肝炎給付金を受け取る流れを解説します。

まずは弁護士に無料相談をする

給付金請求の第一歩は、専門知識を持つ弁護士に無料相談をすることから始まります。

無料相談の段階でも、自身の状況や給付金請求の可能性について詳細なアドバイスを受けることが可能です。

弁護士はB型肝炎給付金請求に関する豊富な経験と知識を持っているため、請求資格の有無や必要な手続きについて具体的な指導が受けられます。

契約後、弁護士と一緒に資料を集める

弁護士との契約が成立した後は、給付金請求に必要な資料を集める作業に入ります。

必要資料として挙げられるのは、感染経路を証明するための以下のような資料です。

  • 医療記録
  • 予防接種の記録
  • 母子手帳

弁護士に相談することで、必要資料やその入手方法について具体的なアドバイスが受けられます。

弁護士が訴訟を提起する

必要資料が揃ったら、弁護士は国を相手に訴訟を提起します。

この訴訟は給付金の支給を求めるための法的手続きであり、裁判所が請求者の給付金受給資格を正式に認定するために必須です。

弁護士は、請求者の代理として裁判所に出廷し、給付金支給の正当性を主張します。

和解が成立すると給付金が支払われる

訴訟の過程によって国との間で和解が成立すると、給付金の支払いがおこなわれます。

請求者が正式に給付金を受け取る資格を得るためには、国との和解が成立することが必須です。

なお、給付金額は感染による病態の重さや影響を受けた生活の質などに基づいて決定されます。

さいごに|母子感染でB型肝炎給付金を受け取るなら弁護士に相談を

母子感染によるB型肝炎で給付金を受け取るためには、適切な証明と手続きが必要です。

まずは給付金の請求条件を理解し、必要な資料を準備することが給付開始への第一歩となります。

ただし、母子感染を証明する過程では専門的な知識が求められることも忘れてはいけません。

給付金を受け取れる可能性を高めるとともに証明書類を集める手間を省くためにも、経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士なら、専門知識をもとに適切なアドバイスができるほか、請求者の代理として裁判所に出廷することも可能です。

母子感染によるB型肝炎に苦しむすべての方が、正当に支給されるべき給付金を受け取れるようになるためにも、専門家のサポートを受けることは重要といえるでしょう。

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