B型肝炎訴訟は国から給付金を獲得するための裁判ですが、準備期間を含めると1年以上かかるため、弁護士のサポートが欠かせません。
ただし、弁護士選びに失敗すると、B型肝炎給付金を受け取れないリスクもあるので要注意です。
B型肝炎訴訟を起こすときは、まず以下のような疑問を解消しておきましょう。
- B型肝炎訴訟はどんな弁護士に依頼すべき?
- B型肝炎訴訟を任せる弁護士はどうやって探す?
- B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリットはなに?
- B型肝炎訴訟はいくら費用がかかる?
- B型肝炎給付金はいくらもらえる?
本記事では、B型肝炎訴訟を任せるべき弁護士の選び方や、弁護士に関わってもらうメリットをわかりやすく解説していきます。
目次
B型肝炎訴訟を依頼する弁護士の選び方
B型肝炎訴訟は弁護士の選び方が重要になるので、どこに相談してよいかわからないときは、専門性の高さや国との和解実績などをチェックしてください。
医学的な知識があること
B型肝炎訴訟を起こすときは、医学的な知識がある弁護士に依頼してください。
血液検査の結果や診断書などを分析できる弁護士であれば、病態に応じた適切な給付金を請求してくれます。
B型肝炎訴訟は提出書類が多いので、資料や証拠に不備・不足がないか、すべて弁護士にチェックしてもらうとよいでしょう。
なお、専門分野が異なる弁護士に依頼すると、資料などの収集が遅くなり、訴訟の準備期間が長くなってしまうので注意が必要です。
B型肝炎訴訟の背景や給付金制度に詳しいこと
B型肝炎訴訟は特殊な裁判になるため、弁護士を選ぶときは訴訟の背景や給付金制度に詳しいかどうかチェックしてください。
給付金制度の施行までには集団訴訟などの歴史があり、当初は国が責任を認めなかったため、肝炎などの症状だけではなく、精神的にも苦しんでいる被害者が多数いらっしゃいます。
被害者のご遺族が給付金を受け取るケースもあるので、B型肝炎訴訟の背景に詳しく、被害者の心情に寄り添える弁護士でなければ、十分なサポートはできないでしょう。
また、B型肝炎訴訟は提出書類がある程度決まっているので、給付金制度をよく理解している弁護士を選び、的確な資料・証拠を準備してもらう方が確実です。
B型肝炎訴訟の対応実績が豊富であること
B型肝炎訴訟の対応実績が豊富な弁護士に依頼すると、給付金の獲得率が高まります。
訴訟の対応実績が豊富な弁護士の場合、立証が難しい案件でも和解に成功しているケースがあるので、B型肝炎訴訟を安心して任せられます。
また、法律事務所のホームページに訴訟件数と和解件数の両方が掲載してあれば、B型肝炎訴訟に自信のある弁護士だといえます。
実績豊富な弁護士を探すと、ほかの法律事務所で断られた方でも対応してもらえる可能性もあるので、ポイントを抑えて探すようにしましょう。
B型肝炎訴訟のリスクも説明してくれること
B型肝炎訴訟を依頼するときは、リスクも説明してくれる弁護士を選んでください。
B型肝炎の感染時期によっては医療記録などが残っておらず、弁護士が対応しても集団予防接種が原因であることを立証できない場合があります。
十分な証拠や資料があり、国との和解に持ち込めるケースでも、弁護士費用がB型肝炎給付金を超えると、依頼者には経済的なメリットがありません。
良心的な弁護士は訴訟のリスクを教えてくれるので、依頼者に不利益が生じることはないでしょう。
休日や夜間でも相談に乗ってくれること
休日や夜間でも相談できる弁護士を選ぶと、平日に休みを取りにくい方や、変則的な勤務形態の方でもB型肝炎訴訟の手続きを進められます。
事前予約があれば、早朝や深夜でも無料相談に応じてくれる弁護士がいるので、有給休暇を取得する必要もありません。
B型肝炎訴訟は立証活動がもっとも重要ですが、弁護士に相談するタイミングが遅くなると、証拠保全に失敗する可能性があるので注意が必要です。
弁護士を選ぶときは、自分の都合に合わせてくれるかどうかチェックしておきましょう。
弁護士費用をわかりやすく説明してくれること
B型肝炎訴訟を依頼するときは、費用の説明がわかりやすい弁護士をおすすめします。
良心的な弁護士は着手金や報酬金などの計算方法をオープンにしており、料金表を提示してわかりやすく説明してくれます。
一方、費用の説明がわかりにくい弁護士や、聞かれたことだけしか答えない弁護士の場合、後で想定外の金額を請求される可能性があるので要注意です。
また、着手金無料の場合は報酬金が高めになっており、支払総額に大きな差はありませんが、「弁護士費用が安い」などと説明する弁護士もいるので注意してください。
口コミや評判も参考にすること
弁護士にB型肝炎訴訟を依頼するときは、口コミや評判も参考にしてください。
同じ弁護士に担当してもらった知人・友人がいる場合、どのような対応だったか聞いておくとよいでしょう。
法律事務所によっては感謝のメッセージをホームページに掲載しているので、弁護士の対応がよくわかります。
相性のよい弁護士であること
B型肝炎訴訟は決着までの期間が長いので、必ず相性のよい弁護士を選んでください。
相性の悪い弁護士は依頼者のストレスになるため、相談を控えてしまうなど、悪循環に陥る可能性があります。
弁護士を選ぶときは、直接面談で人柄をチェックしておきましょう。
B型肝炎訴訟の弁護士選びでは複数の事務所を比較するのも大切
弁護士にB型肝炎訴訟を依頼する場合、最初に訪問した法律事務所に決めてしまう方もいらっしゃいますが、複数の事務所を比較しておくことも重要です。
法律事務所の比較には以下のメリットがあるので、少なくとも3ヶ所程度を訪問してください。
弁護士費用を比較できる
弁護士費用には統一基準がないので、B型肝炎訴訟を依頼するときは、複数の法律事務所を比較してください。
たとえば、相場より割高な弁護士費用であっても、無料相談が回数無制限になっている場合や、一定回数まで出廷費用を請求しない法律事務所もあります。
着手金や報酬金は「B型肝炎給付金×料率」で計算しますが、複数の法律事務所を比較すると料率の違いもわかります。
また、弁護士費用には交通費や日当も含まれるので、裁判所に近い法律事務所を選んだ方がよいケースもあるでしょう。
弁護士費用の内訳も比較しておけば、低コストでB型肝炎訴訟を依頼できます。
弁護士の対応や雰囲気を確認できる
複数の法律事務所で面談すると、弁護士の対応や雰囲気を確認できるので、訴訟を任せるかどうかの決め手になります。
B型肝炎訴訟の対応実績や弁護士費用に大きな差がないときは、弁護士の身だしなみや言葉遣い、事務所の清潔感などで決めてもよいでしょう。
訴訟の準備から決着までには少なくともは1年半程度かかるので、長期的に付き合える弁護士を選んでください。
B型肝炎訴訟を任せられる弁護士の探し方
法律事務所の利用は多くの方が初めての経験になるため、どこで弁護士を探すか迷ったときは以下の相談窓口を利用してください。
それぞれ特徴が異なるので、自分に合った相談窓口を選びましょう。
各都道府県の弁護士会に相談する|知り合いの弁護士がいない方
自宅や会社の近くに法律事務所がなく、知り合いの弁護士もいない方は、各都道府県の弁護士会に相談してみましょう。
各弁護士会では予約制の弁護士紹介に対応しており、以下の方法で面談日を予約できます。
- ひまわり相談ネット:相談場所などを指定したネット予約
- ひまわりお悩み110番:0570-783-110
なお、弁護士会の法律相談は30分5,500円の相談料がかかり、直接面談しか対応していないため、電話やメールの相談はできません。
ひまわり相談ネットでは「医療事故」などの相談種類を選べますが、相性のよい弁護士が担当してくれるとは限らないので注意しましょう。
B型肝炎訴訟の弁護団に相談する|無料相談を利用したい方
B型肝炎訴訟の弁護団は全国に拠点があり、被害者の無料相談に対応しています。
弁護団による集団訴訟は2008年から始まっており、豊富な知識とノウハウを蓄積しているので、被害者の肉体的・精神的苦痛にも寄り添ってくれます。
2023年10月14日現在では弁護団の提訴数が3万5,634人、和解者数は3万2,640人に達しているため、被害者にとっては心強い団体といえるでしょう。
また、弁護団に参加したB型肝炎訴訟は着手金が無料になり、受け取った給付金から報酬金を支払うので、経済的な負担も軽くなっています。
ただし、弁護団に参加している弁護士は限られるため、法律事務所が遠くて相談しにくい、または相性のよい弁護士が見つからないなど、メリットばかりではありません。
自分で選んだ弁護士にB型肝炎訴訟を任せたいときは、以下のベンナビB型肝炎を活用してください。
【参考元】全国B型肝炎訴訟弁護団
ベンナビB型肝炎で弁護士を探す|自分で弁護士を選びたい方
ベンナビB型肝炎は弁護士のポータルサイトになっており、B型肝炎訴訟を専門とする弁護士のみ登録されています。
全国展開の法律事務所も登録されているので、自分に合った弁護士を選びやすく、以下のメリットもあります。
- 無料相談や出張相談を利用できる
- 電話やオンラインの相談も可能
- 着手金無料でB型肝炎訴訟を依頼できる
- 専属チームに対応してもらえる
- 証拠収集や訴状作成なども代行してもらえる
ベンナビB型肝炎の法律事務所は豊富な実績があり、複雑な案件にも対応しているので、ほかの法律事務所で断られた方も訴訟を起こせる可能性があるでしょう。
多忙な方や体調がすぐれない方は、オンライン相談や出張相談を活用してください。
B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリット
B型肝炎訴訟は厚生労働省が手引きを公開しており、基本的には個人でも提起できますが、弁護士に依頼すると以下のメリットがあります。
訴訟に必要な証拠収集や、出廷に対応できるかどうかを考慮しておくとよいでしょう。
訴状の作成や資料収集を依頼できる
弁護士には訴状の作成や資料収集を依頼できるので、B型肝炎訴訟の事務負担が軽くなります。
B型肝炎訴訟は一般的な民事訴訟と異なり、国がすでに過失を認めているため、訴状のひな形も厚生労働省が作成しています。
ただし、病態に応じた訴額を記入することになるので、血液検査の結果や診断書などの資料がなければ作成できません。
病院や役場に出向く時間を確保できない方や、体調不良などの理由で外出を控えている方は、弁護士に資料収集を依頼してください。
国との和解を先読みしてくれる
B型肝炎に関する資料などを弁護士に提出すると、国と和解できるかどうか先読みしてくれます。
手元の資料や証拠が不足する場合、追加する資料をアドバイスしてもらえるので、万全な体制で訴訟を起こせます。
弁護士が「これで十分」と判断すれば、高確率でB型肝炎給付金を獲得できるでしょう。
集団予防接種によるB型肝炎を立証してくれる
弁護士に依頼すると、集団予防接種が原因のB型肝炎を立証してくれます。
B型肝炎訴訟では国が提出書類を審査し、和解協議を経て給付金が支払われるため、立証活動がもっとも重要です。
個人で訴訟を起こした場合は立証活動が難しく、本来であれば数百万円の給付金を請求できるところ、ランクが下がってしまう可能性があるので注意してください。
裁判所の出廷を任せられる
弁護士にB型肝炎訴訟を依頼すると、裁判所への出廷にも対応してくれます。
出廷期日は裁判所から通知されますが、平日のみになるため、仕事が忙しい方は対応が難しいでしょう。
また、出廷の際には口頭弁論や弁論準備手続きがおこなわれるので、国を相手に集団予防接種によるB型肝炎であることや、和解要件を主張しなければなりません。
場合によっては追加資料を求められますが、何を準備してよいかわからないケースもあります。
個人では対応が難しいので、出廷は弁護士への依頼をおすすめします。
訴訟手当金が支給される
B型肝炎訴訟で国との和解が成立した場合、給付金額の4%が弁護士費用として支払われます。
また、B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用や、特定無症候性持続感染者の医療費なども支払われるので、自己負担が軽くなります。
あくまでも和解成立が条件になるため、B型肝炎訴訟は弁護士のサポートを受けたほうがよいでしょう。
B型肝炎訴訟を依頼したときの弁護士費用
B型肝炎訴訟の弁護士費用は法律事務所ごとに異なりますが、かつて採用されていた旧報酬規程に準じているケースが多いので、一般的には以下のような費用がかかります。
費用の内訳 | 費用相場 |
相談料 | 30分5,500円、1時間1万1,000円程度 |
着手金 | 33万~55万円程度 |
報酬金 | 給付金額の8.8~17.6%程度 |
日当や実費 | 日当は1時間1万円程度、実費は交通費や通信費などによる |
弁護士の多くは相談料と着手金を無料にしており、まとまった資金がなくても訴訟を起こせます。
さいごに|B型肝炎訴訟の依頼は実績豊富な弁護士を選びましょう
B型肝炎訴訟は立証活動が最重要ポイントになるため、必ず実績豊富な弁護士に依頼してください。
一般的な訴訟とは異なり、すでに国が責任を認めているので、集団予防接種が原因であることを立証できれば、最大3,600万円の給付金を受け取れます。
給付金を受け取ったあとに症状が悪化した場合、追加給付の制度も利用できます。
B型肝炎訴訟に詳しく、解決実績も豊富な弁護士に依頼しておけば、高確率で給付金を受け取れるでしょう。