B型肝炎ウイルスに感染した場合、肝がんや劇症肝炎になるリスクがあるので注意が必要です。


しかし、B型肝炎は初期症状がわかりにくく、感染経路も複数あるため、以下のような疑問を抱えている方も多くいらっしゃるでしょう。

  • B型肝炎の初期症状を知りたい
  • 初期症状はいつから出るの?
  • B型肝炎にはどんな感染経路がある?
  • B型肝炎は治るの?

B型肝炎は症状が出ないケースもありますが、感染経路が集団予防接種やツベルクリン反応検査だったときは、B型肝炎給付金をもらえる可能性があります。


本記事では、B型肝炎の初期症状や感染経路、B型肝炎給付金のもらい方などをわかりやすく解説していきます。

B型肝炎なら弁護士に無料で相談
この記事を監修した医師
福地 裕三(にじいろクリニック新橋)
にじいろクリニック新橋の院長の福地です。性感染症を中心にED、AGA、ピルなどの処方も行う自由診療のクリニックになります。患者様1人1人、必要な検査は異なりますしエビデンスのある治療を行う必要があります。正しい情報を提供するとともに解決策を見つけ出してご提案いたします。

B型肝炎ウイルスに感染したときの初期症状


B型肝炎ウイルスに感染した場合、一過性感染と持続感染では初期症状が異なるケースがあります。


免疫力などの個人差も影響するので、B型肝炎の初期症状は以下を参考にしてください。

一過性感染の初期症状


B型肝炎ウイルスの一過性感染とは、感染してから数ヵ月後にウイルスが体外に排出され、免疫ができる状態をいいます。


一過性感染の場合、初期症状が出ないまま治癒する方もいらっしゃいますが、ウイルスが完全に排出されるわけではないため、急性肝炎を発症するケースもあります。


急性肝炎になると食欲不振や嘔吐、倦怠感や黄疸などの初期症状があらわれます。

人によっては数ヵ月程度で自然治癒することもありますが、稀に急性肝炎から劇症肝炎に進行するケースがあるので注意が必要です。


劇症肝炎は死亡率が高いので、病態によっては肝移植も必要になるでしょう。

持続感染の初期症状


持続感染とは、B型肝炎ウイルスの感染期間が6ヵ月以上続く状態です。


持続感染した場合、一部の方は慢性肝炎を発症し、倦怠感や食欲不振などの軽い初期症状が出ることがあります。中には肝炎を発症していても症状を自覚できない方もいらっしゃいます。


慢性肝炎になると肝硬変や肝がんに進行する可能性があり、薬物投与や栄養状態の改善、放射線治療などが必要になるケースもあります。


持続感染は症状が出ない場合もありますが、B型肝炎ウイルスが体内に残り続けるため、生涯にわたって肝硬変などの発症リスクを背負うことになるでしょう。

B型肝炎の初期症状はいつからでる?潜伏期間はどれくらい?


B型肝炎ウイルスの潜伏期間は75日程度ですが、個人差により30日や180日程度の潜伏期間になるケースがあります。

その後、疲れやすくなった、食欲がないなどの症状が現れはじめます。


しかし、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、自覚症状がないまま病状が悪化することも多々あります。

症状に気づいた時にはすでに肝硬変やがんになっているケースもあるので、心当たりがあれば早めに検査するなどの対策が必要です。

症状が出ないと検査できない?潜伏期間でも大丈夫?


B型肝炎ウイルスは症状が出ていなくても検査できますが、ウイルスが検出される時期は感染からおよそ30~60日後です。


したがって、潜伏期間中でも30日を超えていれば検査は可能です。


なお、B型肝炎ウイルスの感染を確かめたいときは、会社の健康診断や各自治体のウイルス検診、内科病院の任意検診を受けられます。


健康診断や人間ドックの場合、検査項目にB型肝炎が入っていないケースがあるので、オプションで検査を追加すると、2,000~4,000円程度の費用になるでしょう。


自治体のウイルス検診は基本的に無料ですが、内科病院の任意検査は3,000~5,000円程度の費用がかかります。

B型肝炎の検査方法


B型肝炎の血液検査には以下の種類があり、ウイルスの量や感染力の強さなどを調べます。

HBs抗原検査


HBs抗原検査とは、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。


B型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスのたんぱく質にあたる抗原が血液中にあらわれるため、検査によって陽性かどうかを判定します。


CLIA法という定量的検査では、数値が0.05 IU/ml以上を陽性としており、B型肝炎ウイルスに感染している状態です。

HBe抗原検査


HBe抗原検査を受けると、B型肝炎ウイルスの増殖や感染力の強さがわかります。


HBe抗原の検査結果が陽性だったときは、B型肝炎ウイルスの量が多く感染力も強い状態です。

なお、CLIA法の検査では、数値が1.0s/co以上の状態を陽性としています。

HBs抗体検査


HBs抗体検査はB型肝炎ウイルスに対する抗体があることを調べる検査で、陽性であれば、B型肝炎ウイルスに対する免疫ができていることになります。


過去にB型肝炎ウイルスに感染し、体外にウイルスが排出された場合や、ワクチン接種によって免疫ができると、HBs抗体の検査結果が陽性になります。


CLIA法の検査では、数値が10.0mIU/ml未満であれば陽性になるため、B型肝炎ウイルスには感染しない状態です。

HBc抗体検査


HBc抗体検査とは、HBc抗原に対する抗体ができているかどうかを判定する検査です。


検査方法は以下の2種類があります。

IgM-HBc抗体検査


IgM-HBc抗体検査で陽性が判明したときは、感染時期と検査日が近く、急性肝炎かどうかを判断する指標になります。


CLIA法でIgM-HBc抗体を検査した場合、数値が1.0s/co以上であれば陽性になるため、体内に抗体ができています。

IgG-HBc抗体検査


IgG-HBc抗体検査の結果が陽性だった場合、過去にB型肝炎ウイルスに感染していたことがわかります。


CLIA法の数値が1.0s/co以上であれば陽性になるため、抗体ができている状態です。

HBV-DNA検査


HBV-DNA検査にはB型肝炎ウイルスの量を調べる目的があり、30 U/L以下が正常値とされています。


また、B型肝炎ウイルスの遺伝子を検出することにより、精度の高い病態把握や、適切な治療方針の決定も可能になります。

B型肝炎の治療法


B型肝炎の治療法は慢性または急性によって異なります。


具体的な治療法は以下のようになっており、慢性肝炎は抗ウイルス療法などが用いられますが、急性肝炎は臓器移植が必要になるケースもあるでしょう。

B型肝炎が慢性の場合


慢性B型肝炎の場合、抗ウイルス治療や炎症を鎮静化させる肝庇護療法(肝臓の破壊を防ぎ、機能改善をはかる治療法)がおこなわれます。


抗ウイルス治療にはインターフェロンの注射や核酸アナログ製剤の服用があり、肝臓に強い炎症が出ているときは併用される場合があります。


インターフェロン治療は週1回の注射を24~48週ほど続けますが、発熱や悪寒、関節痛などの副作用が出やすいので、慣れるまでに数日かかることもあるでしょう。


核酸アナログ製剤はほぼ毎日の服用を長期的に続けますが、インターフェロンに比べて発熱などの副作用は少ないようです。


また、肝庇護療法ではグリチルリチン製剤や漢方薬などを使い、週3~6回程度の注射や薬の服用により、肝臓保護や肝機能改善を目指します。

B型肝炎が急性の場合


急性B型肝炎の場合、抗ウイルス治療や肝庇護療法などはおこなわず、ウイルスの排出を待つ場合があります。

食欲不振から食べ物を受け付けなくなったときは、点滴で水分や栄養を補給します。


ただし、急性肝炎から劇症肝炎に進行すると死亡率が高くなるため、病態によってはステロイドの投与や血液透析などにより、肝機能の補助も必要になるでしょう。


劇症肝炎で生命に危険が及んでいる場合は、肝臓の移植手術がおこなわれるケースもあります。

B型肝炎は一定要件を満たすと国から給付金をもらえる


B型肝炎ウイルスに集団予防接種やツベルクリン反応検査で感染している場合、一定要件を満たすと国からB型肝炎給付金をもらえます。


給付金の額は病態に応じて50万~3,600万円になっており、以下の要件に該当する方が給付対象です。

一次感染者の要件


一次感染者とは、1948年7月1日~1988年1月27日の間に集団予防接種などを受けており、以下の要件を満たしている方です。


当時は注射器の使い回しがB型肝炎拡大の原因になったため、集団予防接種を主導した国の責任として、B型肝炎給付金が支払われます。

  • B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 母子感染ではないこと
  • 満7歳までに集団予防接種などを受けていること
  • 満7歳までの集団予防接種が母子健康手帳などで確認できること
  • 集団予防接種等以外に感染原因がないこと

母子健康手帳がないときは、医師に接種痕意見書の作成を依頼してください。

二次感染者の要件


二次感染者とは、出産による母子感染や、体液を介して父子感染した方で、以下の要件に該当するとB型肝炎給付金を受給できます。

  • 母親や父親が一次感染者の要件をすべて満たしていること
  • 一次感染者の母親または父親から二次感染していること
  • 二次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していること

父母の感染原因が集団予防接種などではなかった場合、B型肝炎給付金は請求できないので注意してください。

三次感染者の要件


三次感染者の場合、以下の要件をすべて満たすとB型肝炎給付金を受給できます。

  • 母親または父親が二次感染者の要件をすべて満たしていること
  • 三次感染の原因が母子感染または父子感染であること
  • 三次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していること

三次感染者は受給要件の証明が難しいので、困ったときは弁護士に相談してみましょう。

B型肝炎給付金のもらい方


B型肝炎給付金は受給要件の判定が難しく、役場などの行政機関では対応できないため、訴訟を起こして請求する必要があります。


また、B型肝炎給付金は2027年3月31日が請求期限になるので注意してください。


訴訟手続きは以下の流れになりますが、個人対応はかなり難しいので、弁護士への依頼を前提に考えておきましょう。

資料や証拠の準備


B型肝炎訴訟を起こすときは、集団予防接種などが感染原因であることや、持続感染などを証明する必要があるため、以下のような資料や証拠を準備します。

  • 母子健康手帳
  • 訴訟を起こす人や父母の血液検査結果報告書
  • 持続感染していることがわかる診断書
  • 過去1年分およびウイルス感染から1年分の医療記録
  • 戸籍謄本や戸籍の附票など
  • 小学校の卒業証明書

医療記録は一定期間を過ぎると廃棄されるので、資料や証拠の収集を急ぎたいときは、弁護士に協力してもらいましょう。

弁護士との相談


B型肝炎訴訟の必要書類が揃ったら、まず弁護士に相談してください。


訴訟用の書類に不足があった場合、追加で集める書類や検査などのアドバイスを受けられます。


医師が接種痕意見書などを作成してくれないときや、医療記録の開示請求に応じてくれないときも、弁護士が対応すると病院側の理解を得やすくなるでしょう。


なお、弁護士への相談は基本的に有料ですが、B型肝炎訴訟の場合は多くの弁護士が無料相談に対応しています。

B型肝炎訴訟の提起


B型肝炎訴訟を起こすときは、以下のいずれかの裁判所に訴状を提出します。

  • 自分の住所地を管轄する裁判所
  • 被告の所在地となる東京の裁判所
  • 集団予防接種等を受けた場所を管轄する裁判所

基本的には自分の住所地を管轄する地方裁判所で訴訟提起しますが、請求額が140万円以下であれば、住所地を管轄する簡易裁判所でも訴訟を起こせます。


なお、B型肝炎訴訟では国が被告になります。

裁判所への出廷


B型肝炎訴訟が始まると、2~3ヵ月に1回程度のペースで口頭弁論がおこなわれるため、裁判所に出廷しなければなりません。


出廷期日は裁判所が指定するので、多忙な方や、体調がすぐれない方は都合を合わせらない可能性があるでしょう。


また、口頭弁論では、集団予防接種に起因したB型肝炎であることについて、客観的な証拠をもとに裁判官へ主張する必要があります。


出廷や口頭弁論に対応できないときは、弁護士に代理人を依頼してください。

B型肝炎給付金の支給


B型肝炎訴訟で国と和解できたら、社会保険診療報酬支払基金にB型肝炎給付金を請求します。


給付金は2~3ヵ月後に指定口座へ振り込まれますが、入金が遅いときは以下の相談窓口に問い合わせてください。

  • 相談窓口:社会保険診療報酬支払基金・給付金等支給相談窓口
  • 電話番号:0120-918-027
  • 受付時間:年末年始を除く平日の9時00分~17時00分

なお、社会保険診療報酬支払基金は給付金の相談しか受け付けていないので、訴訟手続きなどの相談はできません。

さいごに|B型肝炎の初期症状があるときは弁護士にも相談を


B型肝炎に感染した場合、初期症状を見逃しやすいので注意が必要です。


身体がだるく、食欲も落ちたときは、B型肝炎ウイルスの感染を疑ってみるべきでしょう。


また、B型肝炎の感染経路が集団予防接種だった場合、国と和解できればB型肝炎給付金が支給されます。


ただし、感染時期が古い方は証拠や資料収集が難しく、B型肝炎給付金の請求期限までに訴訟準備が整わない可能性があります。


B型肝炎の初期症状があり、集団予防接種や母子感染などが疑われるときは、できるだけ早く弁護士に相談しておきましょう。

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