B型肝炎は、実は自然治癒することもある病気であり、成人の場合は免疫機能によって自然治癒する例を耳にすることもあります。

しかし、B型肝炎を発症したすべての人がその恩恵を受けられるわけではありません。

特に乳幼児期に感染したケースでは、無症候性キャリアとなるリスクが高くなります。

本記事では、B型肝炎が自然治癒する可能性や無症候性キャリアとの違い、さらに自然治癒してからB型肝炎給付金を受ける方法などについて解説します。

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この記事を監修した医師
福地 裕三(にじいろクリニック新橋)
にじいろクリニック新橋の院長の福地です。性感染症を中心にED、AGA、ピルなどの処方も行う自由診療のクリニックになります。患者様1人1人、必要な検査は異なりますしエビデンスのある治療を行う必要があります。正しい情報を提供するとともに解決策を見つけ出してご提案いたします。

B型肝炎の自然治癒とは?「治癒」と診断されたときに知っておくべきこと

B型肝炎における自然治癒とは、医療介入なしに体内のB型肝炎ウイルスが消失し、肝機能が回復する現象を指します。

以下では、B型肝炎の自然治癒が起こる過程と、治癒診断を受けた際に患者が把握すべき重要なポイントについて解説します。

現代医療におけるB型肝炎の「治癒」の定義

現代医療においてB型肝炎の「治癒」とは、血液検査によってHBV DNAが検出されない状態、つまりウイルスの複製が停止して体内からウイルスが消失したことを意味します。

しかし、実はこの状態でもウイルスの完全な消失を保証するものではなく、ウイルスのDNA断片が体内に残る可能性はゼロではありません。

そのため、治癒と診断されたケースでも、定期的なフォローアップ検査が不可欠です。

特に急性B型肝炎の場合、成人では自然治癒率が高く約90%が自然に回復するとされていますが、回復後も長期的な健康管理が推奨されます。

B型肝炎が自然治癒した状態と無症候性キャリアの違い

B型肝炎が自然治癒すると、体内のウイルスが完全に消失し、肝機能が正常に戻ります。

これに対して無症候性キャリアとは、体内にウイルスが残存しているものの肝炎の症状が出ない状態です。

つまり、無症候性キャリアはB型肝炎という自覚症状がないにもかかわらず、ウイルスを他人に感染させるリスクがあるということです。

そのため、無症候性キャリアの方は、自己の健康状態を定期的にモニタリングして適切な予防措置を講じることが求められます。

B型肝炎が自然治癒するかどうかは感染の種類による

B型肝炎が自然治癒するかどうかは、感染の種類によって異なります。

以下では、「一過性感染」「急性肝炎」「持続感染」という種類ごとの自然治癒の可能性について解説します。

感染の種類自然治癒の可能性
一過性感染大人がB型肝炎ウイルスに感染しても70~80%の確率で無症状のまま自然治癒します。
急性肝炎急性肝炎を発症した人の90%以上が自然に回復するといわれています。
持続感染幼少期に感染すると90%以上が持続感染者(キャリア)となり、自然治癒は困難です。

一過性感染や急性肝炎は自然治癒の可能性が高い一方で、持続感染は自然治癒が困難です。

特にB型肝炎キャリアになると一生にわたってウイルスが体内に残り、完治は難しいとされています。

一過性感染の場合は70~80%の確率で自然治癒する

たとえB型肝炎ウイルスに感染しても、「一過性感染」と呼ばれる短期間の感染であれば、70~80%という高い確率で自然治癒に至ります。

この自然治癒は、免疫システムがウイルスを効果的に排除することにより起こる現象です。

一過性感染だったケースでは、感染者は無症状のまま治癒するのが一般的です。

ただし、微量のウイルスが体内に残るおそれがあり、これが将来的な健康リスクを引き起こすことがあるため、定期的な健康チェックが推奨されます。

急性肝炎を発症した場合もほとんどは自然治癒する

B型肝炎ウイルスに感染した際に一部の方が発症するのが急性肝炎です。

実は急性肝炎でも、ほとんどのケースで自然治癒が見込まれます。

具体的には、急性肝炎を発症した人の90%以上が自然に回復すると報告されています。

発症した際には発熱や倦怠感、食欲不振などの症状が現れることがありますが、数週間から数ヶ月で自然に解消するのが一般的です。

ただし、稀に急性肝炎が劇症肝炎へと進行し、生命を脅かすおそれもあるため、早めの医療相談が大切です。

持続感染の場合は自然治癒するのは難しい

B型肝炎ウイルスの持続感染とは、感染が6カ月以上続く状態です。

特に幼少期にB型肝炎ウイルスに感染したケースでは、90%以上が持続感染者(キャリア)になると報告されています。

なお、成人期に感染したケースでも持続感染になるリスクがあります。

持続感染しているとウイルスが体内に残り続けるため、自然治癒は非常に困難です。

持続感染者は定期的な健康管理と、潜在的な肝疾患への注意が必要です。

B型肝炎キャリアの多くは非活動性キャリア

B型肝炎ウイルスに持続感染した方の多くは「非活動性キャリア」として分類されます。

被活動性キャリアとは、体内のウイルスの量が少なく、肝臓へのダメージが進行していない状態です。

一般的に被活動性キャリアは健康上の問題を引き起こすおそれが少ないとさないとされています。

しかし、ウイルスの活動性が変化する可能性があるため、たとえ非活動性キャリアであっても定期的な医療チェックを受けることが推奨されています。

日常生活に大きな支障が出ていなくても、B型肝炎に感染しているケースでは注意が必要です。

慢性肝炎を発症するリスクもある

持続感染者になっている場合、慢性肝炎を発症するリスクがあります。

慢性肝炎とは、ウイルスが肝臓に持続的な炎症を引き起こし、肝機能に影響を与えている状態です。

慢性肝炎が進行すると肝硬変や肝がんへ移行するおそれがあるため、早期発見と適切な治療が重要です。

持続感染者は、定期的な血液検査や肝機能検査を通じて、肝臓の状態をモニタリングすることが求められます。

慢性肝炎のリスクを低減するためには、健康的な生活習慣の維持と医師の指導に従った治療が不可欠です。

B型肝炎キャリアの方は定期検査が必要

B型肝炎ウイルスの持続感染者となると、体内にウイルスが長期間残り続けることになります。

この状態では自然治癒が難しく、肝臓が慢性的にダメージを受け続けるリスクが否定できません。

無症候性キャリアの多くは日常生活において健康上の問題を感じないことがほとんどですが、潜在的には慢性肝炎・肝硬変・肝がんへと進行するリスクがあることを自覚しましょう。

そのため、B型肝炎キャリアの方には、定期的な健康チェックと肝機能検査が推奨されています。

定期検査を受けることでウイルスの活動状態や肝臓の健康状態を監視し、必要に応じて早期から適切な治療を開始することができます。

B型肝炎の自然治癒後でも給付金対象になる可能性がある

B型肝炎は、その感染経路によっては国からの給付金が受けられる場合があります。

そして、自然治癒または無症候性キャリアになった方でも、給付金の対象となる可能性はゼロではありません。

以下では、B型肝炎の自然治癒後にB型肝炎給付金を受け取るための条件や金額について解説します。

自然治癒後にB型肝炎給付金を受け取る条件

B型肝炎ウイルスに感染した後に自然治癒したケースであっても、特定の条件を満たせば給付金の対象となります。

給付金の対象となるために必要な条件としては、以下のものが挙げられます。

条件概要
感染経路の証明B型肝炎ウイルスに感染した経路を明確に示す必要があります。
感染時期の特定感染が発生した時期を特定し、それが給付金の対象期間内であることを証明する必要があります。
持続感染の有無自然治癒した場合でも、一時的にウイルスに感染していた証拠を提出する必要があります。
無症候性キャリアの証明自然治癒したが無症候性キャリアであることを示す医療記録の提出が求められることがあります。
法的要件給付金の申請には、特定の法的要件を満たす必要があります。

自然治癒後に受け取れるB型肝炎給付金額

B型肝炎給付金として支給される金額は感染状況や病態の進行度によって異なりますが、無症候性キャリアや既往感染者であっても一定条件を満たすことで給付金を受け取ることができます。

以下ではB型肝炎の治癒後に受け取れる可能性がある給付金額を解説します。

病態給付金額
軽度の肝硬変 ※発症から20年を経過し、現在は治癒している300万円
慢性B型肝炎 ※発症から20年を経過し、現在は治癒している150万円
無症候性キャリア ※感染から20年を経過していない600万円
無症候性キャリア ※感染から20年以上経過している50万円+検査費用等

自然治癒した方がB型肝炎訴訟をするなら弁護士に相談を

B型肝炎に感染し自然治癒した方でも、特定の条件下では給付金の対象となる可能性があります。

ただし、給付金の申請には適切な証拠の収集が必要になるほか、手続きの進行には専門知識が必要です。

訴訟から和解に至るまでの過程をスムーズに進めて適切な給付金を受け取るためには、専門家である弁護士の支援を受けることがおすすめです。

弁護士は証拠書類の収集、必要書類の作成、裁判所への提出など、訴訟に関わるすべての手続きを代行してくれます。

以下では、弁護士に相談するメリットを解説します。

証拠書類の収集を代行してもらえる

B型肝炎訴訟においては、感染経路の証明や医療記録の収集が必須となります。

個人で対応することもできますが、1人で必要な証拠を集めるのは困難であり、専門的な知識が必要です。

弁護士はこれらの証拠書類の収集を代行し、訴訟に必要な書類を整えることで、訴訟の成功率を高めてくれます。

また、訴訟過程で必要となる各種申請書類の作成や提出もサポートしてくれるため、訴訟がスムーズに進行します。

手続きをまかせられるので、訴訟から和解までがスムーズ

B型肝炎訴訟における弁護士の役割は、単に法的アドバイスを提供するだけではありません。

訴訟の申し立てから和解交渉、和解成立までの全過程をサポートし、被害者が直面するストレスや負担を軽減します。

弁護士が介在することで訴訟は迅速かつ効率的に進み、被害者にとって有利な結果を導き出せる可能性が高まります。

訴訟手当金として給付金の4%が上乗せされる

B型肝炎訴訟に勝訴することで給付金の受け取りができますが、弁護士を通じて訴訟をおこなったケースでは「訴訟手当金」として給付金の4%が上乗せされる場合があります。

この追加給付金は、訴訟にかかる費用や時間、精神的な負担を考慮した補償です。

弁護士に依頼することで受けられる経済的メリットの一つといえるでしょう。

さいごに

本記事では、B型肝炎が自然治癒する可能性や自然治癒してからB型肝炎給付金を受ける方法などを解説してきました。

B型肝炎に関する訴訟は、自然治癒した方や無症候性キャリアの方も対象となるケースがあります。

自分が給付金を受け取れるかどうか知るために有効なのが、専門的な知識を持つ弁護士に相談することです。

B型肝炎の診断を受け、自然治癒もしくは無症候性キャリアであることがわかったときは、まず弁護士への相談をおすすめします。

正しい知識と専門家のサポートによって、B型肝炎給付金を受け取る機会が得られるかもしれません。

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